ずっと見ていた。彼女のことを。決してこちらの声が、意志が彼女に届くことはないとしても、それでもずっと見ていたのだ。こっちを見て欲しい、こちらに気付いて欲しい。こんな考えばかり浮かぶのは、彼女に似たのだろうか、それとも――。
 強くなりたい。いつか、褒められるくらいに強く。今はまだ未熟で小さい体だけど、いつかは存在を認められるくらいに、強く、強く。……やはり似てきている。そもそも同一だった? だからきっと、ちくりと刺すような、胸の痛みはきっと僕だけのものではない。例え自分が傷つこうとも、傷付けようとも、それでも君の隣に立ちたい。――君になりたい?
 カリ、カリ。
 そうして僕は、今日もひたすら齧り続ける。その度に襲う痛みを抱きながら、気付いてもらえるまで、じっとその時を待ち続ける。