「ふふっ、なんとな、今日のおやつは焼きバナナだ」

「昨日も焼きバナナだった気がするなぁ」

 

　ラーマくんってマジバナナしか食べてないんですけどウケる（笑）みたいな一昔前のJKムーブしかできないんだけどさ。ラーマくん本当にバナナ好きだね。昨日はカルナが焼きバナナを作ったと言っていたけど、それは何故かびっくりするくらい塵になっていて口にはできなかった。彼曰く、ラーマくんから教えてもらったのを試したかったと聞いていたが、まさか今日は王直々に焼きバナナを頂けるとは思ってもみなかった。（本来なら私が献上する立場では？）

　カルナの件があって身構えていたけれど、眼前の焼きバナナはなんというか……THE・焼きバナナですといった感じで甘く香ばしい香りが部屋中に漂っている。バナナを掬うフォークを持つ手がそわそわしてしまう程度には早く口に運びたくて仕方がない。

 

「やはり宝具で焼くのはまずかったのだろうか」

「是非もなし……」

 

　隣で一足先に焼きバナナを堪能しているカルナから衝撃発言が飛び出したような気はしたが、あまり深く突っ込まないことにする。

　カルデアの厨房はエミヤが基本取り仕切っているけれど、近頃何かに触発されたのか他のサーヴァント達もおやつ作りや作りに興じている。全く料理できない干物女マスターの私も私でそのおこぼれを頂くのがここ数日の楽しみになっていた。私的にはぁ最近流行りのタピオカとかも飲みたいんだけどぉ。聞いたところによるとヤクザが入ってるタイプのもあるらしいから入ってない方のやつでな。

　決して焼きバナナに不満がある訳ではないが、こういう女子らしいもの食べてると普通に学生やってた頃のことを思い出してプチセンチメンタルな気分。どうしよう、いつまでもJKのつもりなんだけど気のせいじゃなけりゃそろそろ４年経ってる気がする。なんなら年号変わったような気もするけども、いや、そんなはずないよね。だってまだ2018年のはずだもんな。……え？　マジでいつまでJKムーブしてていいんだろうか。「マジ」とかもう本来死語なのでは？

 

「死ぬまでにもう一回くらい女子会とかさぁ、恋バナとかしたいよねぇ」

 

　焼きバナナをつつきながら思う。不満はない。不満はないのだが、如何せんこのカルデア、熱い男が多すぎる。唯一の癒しであるマシュも最近影響を受けつつあるのが不安でしょうがないが、悪い方向に転ぶ訳ではないから私が口をだすのもおかしいし。自室でレオニダス・ブート・キャンプ開かれた時は流石にキレ散らかしたけれども、大丈夫、「笑顔の絶えない職場」です。太陽王とかレジライとかな。決して、決して早乙女研究所みたいな意味で使われる言葉ではないから。

 

「女子……会……？」

「その宇宙猫みたいな顔に一発入れていいかな通りすがりの岡田くん」

「早乙女研究所を知ってるJKがおるかよ」

「うるさいぞ。もう漫画貸してやらないからな」

「別にええぜよ。わしがお前と顔合わせる必要性が消失するだけじゃ」

「なんだこいつ？　人の部屋を漫喫と勘違いしてるクソヤンキーか？」

《力尽きたおまけ会話文》

「鈴鹿御前ちゃんが来てくれたらいいんだけどな～。かわいいし、メイク教えてほしいし、一緒にタピオカ買うために行列並んで、ダベる７割飲んで楽しむ３割な体験をしたみ」

「確かに……ここはマシュ以外不思議とマスターと同世代の女性サーヴァントがいないものな……くっ、シータさえいれば……！　余も満足できたのに」

「結局自分のためか！　ごめんな！　非力なマスターで！」

「オレたちでは“ジョシカイ”は出来ないのか……。マスターを満足させることは出来ないのか……」

「おい、勝手に主語を大きくしな」

「えぇ～！　そんなことないよカルナ～！　カルナもラーマも概念的にはむしろ私の方が負けてるくらいあるから～！　めちゃめちゃただの戯言だから～！！　ただし岡田テメーはダメだ」

「夜道に気ぃつけろよ」

「岡田がいうとガチ感が凄いわ」

《焼きバナナ》

「バナナ食べ過ぎて黄色くなりそう。おいしいんだけど最近インド勢張り切りすぎじゃないかな。誰が一番うまい焼きバナナつくれるか選手権してるの？」

「近頃はパーシュ・パタをもとに更に軽量化した焼きバナナ専用の技を開発し、焦がすしか取柄のないカルナの宝具とちｇうんぬんかんぬん」

「それ宇宙を滅殺用の力では……？　シヴァの怒り買わない？　大丈夫？」

《引くほど懇願してタピオカをカルデア内に普及後》

 

「へーいタピ田がオカってる～」

「……」

「あ、やばいな。ここでアクセル全開、インド人を右に！　やっちゃえバナ……………ジュナ……」

「アルジュナです」

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