ミミズだってオケラだって

「マダラ様見てください! 今日は大量ですよ!」
「うっ生臭っ! ……今すぐ3メートルくらい俺から離れろ」
「ブラウン管テレビか?」
「タメ口……」
「今日は天気がよかったので、皆で川に行ったんですよ」
「そうか」
「そしたらこーんなに山女魚が穫れました。一緒に食べましょう」
「……ふん。まぁこれくらい忍術使えば楽勝だろ」
「風情がないですね……皆がそんなことしてたら川の生態系に影響が出るじゃないですか」
「お前は風情なんぞ気にするような女だったか?」
「しかし、昨日皆でミミズ狩りをした甲斐がありましたよ。山中のミミズを土遁使ってまで掘り起こしましたからね」
「お前が山の生態系狂わせてることに気付いてるか?」
「え?」
「え?」

「餌……じゃなくて山女魚の最後の晩餐に相応しいよう、大きいのばかり厳選しました」
「そういうこと言うの止めろ」
「焼けば一緒ですよ。さぁ」
「さぁ……ってなんだその手は」
「火遁でぱあっとお願いしますよ」
「チャッカマンをこの間やっただろ」
「火力が足りませんよ」
「貴様、何を……偉そうに……大体忍術を使うのは“風情が”ないんじゃなかったのか」
「チャッカマンで直焼の方が風情ないですよ。何のために大量の山女魚をわざわざここまで持ってきたと思ってるんですか」
「お前……」

「私達にはマダラ様しかいないんですよ。今も皆、家でマダラ様が焼いて下さった山女魚が来るのを待ってるんです!」
「お前等……」
「マダラ様の火遁は何の為にあるんですか! 戦のためだけですか! そんな争いの火種にしなくても、他に使い方があるでしょう……! 山女魚を焼くとか」
「山女魚を焼くとか」
「そう、山女魚を焼くとか」
「……」
「焼いてくーださい」
「……しょうがねぇな」

 

「まずは塩で手洗いし、内蔵を全て取り出してから洗う。包丁で腹割ってからかき出してもいいし、口から箸を突っ込んで出しても良い……どうした?」
「……マダラ様、エプロン超絶似合わないですね」
「吊るすぞ」