炎のランナー

「マダラ様、マダラ様」
「何だ」
「火をください」
「……今は忙しい。後にしろ」
「……」
「………………目的は何だ?」
「聖火リレーを……したかったんです」
「何故」
「余所者から強奪した書物に書いてたんです。火をもって走るんですって」
「そうか、それが何のためになる」
「分かりません。でも楽しそうじゃないですか」
「そうか……帰れ」
「待って下さい! マダラ様も混ぜてあげるから!」
「何で上から目線なんだ殺すぞ……前に渡したチャッカマンを使えばいいだろう」
「いや! ……いやです! 聖火リレーなんですよ!? いくらマダラ様にいただいた由緒正しいチャッカマンといえど所詮はただのチャッカマン」
「お前」
「うちはの聖なる火遁の炎でないとヤです!」
「聖なる火遁だと……? やめろ、うちはの火遁はもっとこう、くろ、いや漆黒の……邪王炎殺黒龍波みたいな感じのはずだッ!」
「色なんかはどうでもいいんです。私はただ、走ってもなかなか消えない炎がいいんです!」
「色なんかとか言うな。……それこそなんかそんな……黒い炎を操るうちはが、将来現れる……ような気がする。だからそれまで待て」
「五十年も待てません」
「やけに明確な数字を出してきたな」
「とにかく! うちはの炎じゃなかったら、私達、絶対に走りませんからね!」
「俺は走れとは一言も言ってないのだが……」
「お願いします、マダラ様のがいいんです……(それがなきゃお前なんてとっくにポイよ……)」
「そんなチワワのような顔をするな…………し、仕様がないな。俺も走ってやらんでも……」
「走るのかよ」
「何か言ったか?」
「いえ別に」
「しかしこの時期に意味も無く変に目立つような行動をするのもな……」
「これ内緒なんですけど、実は一族皆で聖火リレーするついでに敵地の森を燃やしてこようかと……」
「お前達がど畜生だったのを忘れていた」

 

「イタチくん」
「うわ、お久しぶりです」
「今露骨にうわって言ったね?」
「気のせいですよ。で、何の用ですか」
「いやぁ、そういえばむかーし、祖母様に聞いた話を思い出してね?」
「はぁ」
「聖火リレーしたいんだけど、天照してくれない?」
「嫌です」